REPORT

海藻と環境セミナー(奥尻ブルーカーボン体験)開催

フェリーで奥尻島に渡り、島の皆さんに奥尻の「いろいろ」、教えていただきました!

一般社団法人 海藻文化振興会は、海藻に対する学びを深め、未来の海を創造する人材の育成に向けて「はこだて海藻アカデミー」プログラムを連続的に開催しています。この取り組みの一環として2025年7月5日(土)~6日(日)の日程で「海藻と環境セミナー(奥尻ブルーカーボン体験)」を開催しました。今回は、函館と札幌圏から小・中学生8名が参加する中、奥尻町の東海岸にある赤石漁港で、漁協青年部の皆さんとともにブルーカーボン測定やウニ採りというワイルドかつおいしい体験を皮切りに、ブルーカーボンに関する座学や奥尻のまちづくり、さらに漁港整備などの詳しいお話をいただくなど、まさに奥尻を丸ごと体感するプログラムとなりました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

 

 

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海と日本PROJECT「はこだて海藻アカデミー 海藻と環境セミナー(奥尻ブルーカーボン体験)」開催概要

・日程/2025年7月5日(土)〜6日(日)

・開催場所/北海道奥尻郡奥尻町

・参加人数/小中学生8名ほか関係者・報道機関含め計15名

・協  力/ひやま漁業協同組合奥尻支所青年部、国土交通省函館北海道開発局函館開発建設部、奥尻町産業振興課、㈱渋谷潜水工業、海藻活用研究会

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■7月5日(初日)07:00 集合、いざ奥尻へ!

函館から奥尻までの道のりは約5時間と…遠いです。というか途中から海路だし。しかし皆さん、朝から元気な感じで集合ポイントに集まっていただきました

 

 

■7月5日(初日)09:40 フェリー乗船~奥尻に着いたらまずはおいしい昼食をたべて

…というスケジュールだったのですが。。。この日は晴れ&微風の、いい感じのコンディションだった一方、翌日は強風で海が荒れることが想定されたため、私たちを受け入れていただく漁協青年部の皆さんの即断即決で「(翌日の予定だった)海の体験は、今日、フェリーが着いたらすぐやるべ!」ということとなり、お昼ご飯は江差のコンビニで調達~フェリーの船内でいただくことになりました。しかし、振り返るとこのジャッジ、お見事でした。初日の天候は晴れ&微風、漁船への乗船を含む海洋メニューの実施には、素晴らしい環境となりました。

 

 

■7月5日(初日)11:50 奥尻港フェリーターミナル着

奥尻島のマスコットキャラクター「 うにまる 」から熱烈歓迎を受けました。

 

 

■7月5日(初日)13:00 赤石漁港で、フルーカーボン測定

奥尻町では価格が安く水産資源の保護と海の生態系維持にもなることから天然ホソメコンブの採取を漁業としていませんでしたが、2020年からは、加工用の原材料として試験的に赤石沖でのホソメコンブ養殖を開始し、地場産の液体だしや化粧品の商品化などに取り組むとともに、23年からはブルーカーボン事業に着手、今年1月には0.5トンがクレジット認定されました。今回のプログラム参加者8名は、今年度分のJブルークレジット申請に係るブルーカーボン調査に参加、漁協青年部の皆さんが沖の養殖施設から採取してきたホソメ昆布を丁寧に並べ、長さと重さ測り、さらに含水率などを確認するという極めて高度で専門的、かつ得難い経験をすることができました。

 

 

■7月5日(初日)15:30 赤石漁港で、ウニ採り体験

初夏の北海道にしては日差しが強い中、約2時間にわたって行われたブルーカーボン調査のあとは、ウニ採りを体験しました。

 

 

■7月5日(初日)16:30 奥尻町役場で座学

奥尻町のホソメコンブ養殖事業とブルーカーボン調査に長くご協力いただている海藻活用研究会の布村さんから「ブルーカーボン概論」をご講演いただき、続いて奥尻町産業振興課の横田課長から「ホソメコンブとブルーカーボンクレジット取得について」詳しく教えていただきました。横田課長からは参加者に素敵なプレゼントをいただきました!

 

 

■7月5日(初日)17:30 奥尻港横 漁協青年部直売所「海館(かいかん)」でバーベキュー

焼き網の上に並ぶ奥尻の海の幸…「最高」でした。

 

 

■7月6日(2日目)09:20 奥尻町あわび種苗育成センター見学

奥尻町の主要産物の「あわび」の種苗を育成する施設を見学しました。ここで育成しているあわびは、ホソメコンブやより自然に近い飼料を与えることで、殻の色が天然モノのような黒色をしています。試食をさせていただきましが、これも最高でした!

 

 

■7月6日(2日目)10:10 青苗港見学(青苗港の整備内容について)

青苗漁港は、1993年7月に発生した北海道南西沖地震による強い揺れと津波で壊滅的な被害を受けましたが、その後、国・北海道・奥尻町による各種の整備事業で、復旧とともに防災面など様々な機能強化が図られました。そうした整備の経過や内容をはじめ、今日の漁業の変化に対応した漁港の改修などについて北海道開発局函館開発建設部地域連携課の田島課長補佐からご説明をいただきました。手持ちパネルを用いクイズ形式で進められた田島さんの解説は、参加者全員を否応なしに指名していくストロングスタイルでグイグイ進められましたが、田島さんの優しい語り口もあって皆、笑顔で自発的に解答していたのが印象的でした。

 

 

■7月6日(2日目)11:00 奥尻島津波館見学

今回の参加者の最年長は中学3年生ですから、1993年の北海道南西沖地震は生まれる前のこと。しかし、マチの痛ましい記憶を後世に伝える「津波館」見学を通じて、様々な思いを募らせたのではないかと。

 

 

■7月6日(2日目)13:00 奥尻町海洋研修センターで今回のブルーカーボン調査の成果を確認

今回の奥尻島ブルーカーボン調査と奥尻島体験プログラムづくりを担当した北海道マリンイノベーション社の安藤さんから、今年のCO₂吸収量の計算にあたり、今回の養殖網の長さや網1本あたりのコンブの重量、含水率、炭素含有率などの説明があり、その後、それらを基礎データとして複雑な計算式に入力・計算する作業に、参加者全員で取り組みました。なお、これを書いている私は、途中で…というか最初から訳がわからなくなって、皆が計算している間は手だけを動かして、何かしらの計算をしているそぶりをしながら落ち着かない感じで過ごしたのでありました。なお、計算の結果、今年のCO₂吸収量は「昨年よりも良好なデータが出た」ということが判明し、関係者は皆、喜んだのでありました。

 

 

■7月6日(2日目)15:00 フェリーに乗って函館に戻ります(まとめ)

2日間おつかれさまでした。そしてすべての行程をアシストいただいた奥尻町役場 横田課長と産業振興課の皆さん、本当にありがとうございました。海のこと、コンブのこと、そしてこれからの漁業のこと。今回のプログラムへの参加を通じて、参加者の皆さんはさまざまな「気づき」があったようです。以下の今回の参加者アンケートの一部を記載します。

Q:「この体験を通して、明日からあなたの「海」への思いや行動は変わると思いますか?

A:海と人とのつながりを改めて感じることができたので、変わると思う

A:海水温が上昇すると生き物が生きられなくなるので、環境のことを考えCO₂を少なくする努力をする

A:もう少し、海への理解を深めたいと思った

A:変わると思いました!ゼロカーボン(ブルーカーボンも)しらべてみたいです!

A:コンブが地球温暖化を改善するために役立つことを知り、もっと活用してほしいと思った