はこだて海藻アカデミー2026【キックオフセミナー】を実施しました。
一般社団法人 海藻文化振興会は、次世代を担う若者を対象に「はこだて海藻アカデミー」を本年度も開催しました。「日本一の海藻の街はこだて」の特色を生かし、海藻をテーマに環境・産業・地域課題への理解を深めるとともに、未来の海と海藻、地域のあり方を考える人材の育成を目指します。本年度は、「昆布の危機を救え!プロジェクト」「海藻と環境セミナー」「海藻ピッチイベント」の3つのプログラムを実施し、体験から探究、発信へとつながる学びの機会を提供します。本事業は、日本財団「海洋・船舶支援」の一環として実施します。
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はこだて海藻アカデミー2026「キックオフセミナー」
・日程/2026 年4月19日(土) 14:00〜16:00
・開催場所/函館サーモン・まるなまアリーナ(函館アリーナ)
・主催/一般社団法人 海藻文化振興会
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【開会にあたり…大泉潤函館市長ご挨拶】
キックオフセミナーの開催にあたり、函館市長・大泉潤様より開会のご挨拶をいただきました。ご挨拶では、「海藻は地域にとって身近であり、日本文化を支えてきた重要な存在です。近年はブルーカーボンの観点からも世界的に注目されており、本アカデミーが海への理解を深め、地球の未来を考える貴重な学びの場となることを期待しています」と、激励のお言葉を頂戴しました。
【基調講演「海藻の生態と役割を知る」北海道大学名誉教授 安井肇先生】
講演では、安井北海道大学名誉教授より、「日本列島の多様な海洋環境により、沿岸部には海藻が約1500~1600種存在し、そのうち約100種が食用として利用されるなど、日本は世界有数の海藻活用国である」ことについてご説明いただきました。また、「北海道では地域ごとに多様な昆布が分布し、マコンブをはじめ各種にそれぞれの個性と価値があること」、さらに「海藻は旨味成分やミネラル、食物繊維などを豊富に含み、健康や産業の面でも高い可能性を有すること」についてもご紹介いただきました。加えて、「函館周辺にはマコンブやガゴメコンブ、ノリなど多くの海藻が集積しており、その魅力を高めていくことで、新たな展開につながることが期待される」とのお話をいただきました。
【2025事業について 事務局から報告】
本アカデミーの昨年度事業の実施内容を報告しました。海藻をテーマとした環境教育、人材育成を目的として、「海藻と環境セミナー」、「昆布の危機を救え!プロジェクト」、「海藻ビジネスプラン企画セミナー」の3事業を展開し、奥尻町で実施した「海藻と環境セミナー」では、漁業者や関係機関の協力のもと、ホソメコンブの長さや重量等の測定を通じてブルーカーボン算定に必要なデータ収集を行うとともに、ウニ採り体験や震災学習施設の視察など、自然・産業・防災を横断した学びを体験しました。また、函館市の根崎町などで実施した「昆布の危機を救えプロジェクト」では、昆布の加工を体験した後、会場を弁天町に移し、水産・海洋の研究機関で専門家から昆布の保全などについての講義をいただきました(1回目)。また、未利用昆布の活用をテーマとした海苔の代替品「昆布シート」の試作体験も行われ、実践的な学びの場となりました(2回目)。さらに、海藻を活用した料理コンテストの審査員を体験し、資源の価値や利活用の可能性について理解を深めました(3回目)。「海藻ビジネスプラン企画セミナー」では、江別・奥尻・函館の高校(高専)生が海藻をテーマとした商品開発や研究に取り組み、発表会や販売活動を実施しました。その成果として、日本政策金融公庫が主催する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」において、当アカデミーからのエントリー全4プランが全道発表会にご招待をいただいたほか、本選では、全国5,640プランの中から奥尻高校の板垣さん、函館高専の成田さんのプランが、ともに「ベスト100」に選ばれました。
【昨年度プログラム参加者からのコメント】
・ビジネスプラン・グランプリでベスト100に選出された成田さんからは、祖父母が昆布漁に従事していた経験や、「この仕事は息子には継がせられない」という祖母の言葉をきっかけに、昆布産業の将来に危機感を抱いたことが語られました。また、高専での学びを背景に「漁業×科学」による課題解決に取り組んできた経緯についても紹介され、「参加者の皆さんそれぞれの強みを生かし、函館の昆布産業のために共に挑戦してほしい」とのエールが送られました。
・今年中学生になった三浦さんからは、昆布を食べることが好きだったことをきっかけに本アカデミーへ参加したことや、昨年の奥尻町でのブルーカーボン調査の体験が特に印象に残っていることが語られました。また、今後もさまざまな体験に挑戦していきたいとの意欲が示されました。
【昆布に触れてみよう!】
体験プログラムでは、マコンブ、早採りマコンブ、ホソメコンブ、ガゴメコンブの4種類の食べ比べを実施。それぞれの旨味や食感の違いを実感し、参加者の好みがきれいに分かれるなど、昆布の多様性への理解を深める機会となりました。さらに、安井先生が開発した「北大ガゴメ」の生昆布に実際に触れ、その特徴的な粘りも体験しました。
【3つのプロジェクトの概要説明】
「昆布の危機を救え!プロジェクト」:日本の和食文化を支える昆布の現状と課題について理解を深める取組を展開します。全国シェアの約35%を占める函館は昆布の一大産地ですが、生産量は30年前の約3万トンから現在は約1万トンへと減少し、特に天然マコンブは著しく減少しています。昆布藻場は多様な生物を育むとともに、ブルーカーボンの観点からも重要な役割を担っていますが、磯焼けの進行などにより厳しい状況にあります。こうした課題を解消すべく、体験や学習を通じて、子供たちの関心を高め、将来の担い手育成や消費拡大につなげることを目的に実施します。
「海藻と環境セミナー」:海藻が二酸化炭素を吸収・貯蔵する「ブルーカーボン」について学びます。函館市根崎町や奥尻町での実施を通じ、養殖昆布の現場においてサンプリングを行い、昆布の長さや幅、重量を測定し、そのデータをもとにCO₂吸収量を算定します。こうした体験を通じて、生の昆布に触れ、漁業の現場を学ぶとともに、環境保全への理解を深めることを目的としています。漁業者との交流も含め、実践的で貴重な学びの機会として実施します。
「海藻ピッチイベント」:本アカデミーの最終段階に位置づける発展的プログラムとして実施します。「昆布の危機を救え!プロジェクト」や「海藻と環境セミナー」を通じて関心と理解を深めた参加者が、さらに学びを深め、自らの視点で課題解決や価値創出に取り組む機会を提供します。海藻分野は文献が限られる一方で研究余地が大きく、函館という立地の優位性を生かした学びが可能です。本プログラムでは、専門家の指導や参加者同士の協働を通じて探究を進め、その成果を発表する場を設けるとともに、ビジネスプランへの発展や外部との連携も支援し、次世代の海藻ビジネスの人材育成を目指します。
【参加者の感想】
・昆布のぬめりの種類が昆布干しのものと違うことに驚いた。
・ウニが昆布を食べていることを今回初めて知った。
・昆布を使ったスプレータイプの化粧水など新しい商品アイデアが生まれた。
・ラッコの過剰捕獲は生態系に影響があると知り、環境保護の重要性を実感した。
・昆布がCO2吸収以外にも様々な環境貢献をしていることを学んだ。
・海にはまだ活用されていない資源が多く眠っている宝庫であると理解した。
・海藻の多様な種類や名前を知り、身近さが増した。
・食卓に海藻を取り入れることで脱炭素にもつながる可能性があることに気づいた。
・若い世代が海や海藻に関心を持ち、将来の産業発展に期待できると感じた。
・海藻の活用は食だけでなく美容や健康など幅広い分野で可能性が広がることを発見した。











