はこだて海藻アカデミー
Report

はこだて海藻アカデミー 活動報告

2026 年10月27日【昆布の危機を救え!プロジェクト 出前授業・高丘小学

掲載日:2026年10月29日

昆布の危機を救え!プロジェクト 昆布干し体験

一般社団法人 海藻文化振興会は、次世代を担う若者を対象に「はこだて海藻アカデミー 昆布の危機を救え!プロジェクト 出前授業・高丘小学校」を開催しました。より深い海藻の知識を求めるユース世代に学びの機会を提供し、支援する「海の人づくり」。ユース世代が地域課題に向き合う姿が世代を超えたメッセージとなり、未来の豊かなまちづくりの原動力になることを目的としています。今回は、函館市立高丘小学校の5年生を対象に、函館真昆布のUMAMI体験や南茅部エリアの藻場の危機について講義しました。


はこだて海藻アカデミー2026「昆布の危機を救え!プロジェクト 出前授業・函館市立高丘小学校」

・日程/2026 年10月27日(火) 10:20〜11:05

・開催場所/函館市立高丘小学校

・主催/一般社団法人 海藻文化振興会


【函館真昆布 UMAMI(うま味)体験】

開催にあたり、函館市立高丘小学校の東谷校長より、開会のご挨拶を賜りました。続いて、事務局長の布村より、函館真昆布について説明がありました。函館周辺で採取される昆布は、主に真昆布とがごめ昆布です。函館では千年以上前から昆布が豊富に採取されており、かつては北前船による「昆布ロード」を通じて、京都や大阪などへ運ばれていました。なかでも真昆布は、江戸時代より朝廷や江戸幕府に「献上昆布」として納められてきた、由緒ある昆布です。函館の昆布が約10メートルにも及ぶ長さに成長するのは、日本海から太平洋へ流れ込む海流の影響を受けるためだと説明されました。また、昔の正月には、殿様が長い昆布の上に餅などを載せ、縁起の良い飾りとして用いたとも伝えられています。会場では、採取から1年、3年など経年毎の昆布サンプルを見比べました。子供たちは、昆布の表面に付着している白い粉に気付き、その正体について熱心に耳を傾けていました。この白い粉は「マンニトール」と呼ばれる希少な糖であり、昆布特有のうま味や甘味を生み出す成分であることが紹介されました。その後、子供たちや参加者の皆さまには、昆布だしを実際に味わっていただく「UMAMI(うま味)体験」を通じて、函館真昆布の豊かな風味を感じていただきました。


【基調講演「昆布の危機を救え!」北海道大学大学院水産科学研究院 古里匡志朗先生】

講演では、北海道大学の古里匡志朗先生から昆布の危機について、お話をいただきました。はじめに、「昆布は何の仲間でしょうか」とクイズ形式で問いかけがあり、子どもたちは楽しみながら海藻について学びました。海藻とは、海に生息する藻類の総称であり、光合成を行って生きる生物です。海藻は、約35億年前にはすでに誕生しており、恐竜や陸上植物よりも長い歴史を持つとされています。また、色によって「緑藻」「褐藻」「紅藻」に大別され、昆布は褐藻の仲間であると紹介されました。世界最大級の海藻として、アメリカなどに生育するジャイアントケルプが取り上げられました。ジャイアントケルプは最大で約60メートルにも達し、函館キラリスの高さを上回るほど大きく成長することに、子どもたちは驚きの表情を見せていました。続いて、海藻と海草の違いについて説明がありました。海藻が胞子によって増えることを学びました。さらに、南茅部エリアの藻場の現状について、古里先生が自ら撮影した海中の写真を用いた説明が行われました。写真には、海底が岩肌ばかりとなり、ウニが大量に生息している様子が映し出されており、こうした状態が「磯焼け」と呼ばれることが紹介されました。磯焼けが進行すると、海藻が減少するだけでなく、魚や貝類など多くの生物の生息環境が失われるなど、海全体にさまざまな悪影響が及びます。その解決に向けた基本的な考え方として、海藻と、それを食べる生き物とのバランスを整えることが重要であると説明されました。一方で、昆布の減少や磯焼けの原因は一つに限らず、海水温の上昇や生態系の変化など、複数の要因が複雑に関係しています。そのため、解決には一つの方法に頼るのではなく、さまざまな対策を組み合わせて取り組むことが必要です。また、藻場が回復するまでには長い時間を要するため、継続的な活動が欠かせないことも強調されました。今回、子どもたちは海藻について、そして函館真昆布を取り巻く環境の現状について、学びを得ることができたと思います。講義を通して、子供たちから積極的に質問が寄せられ、昆布の危機や磯焼けを解消してくれる未来への希望の芽が育まれた素晴らしい時間となりました。